■ ハイパー・スペクトル・カメラ
当社は、ベンチャーとして独立する前より、ハイパースペクトルカメラを開発し、フォトニック結晶の物性評価をしてまいりました。
ハイパー・スペクトル・カメラとは、1次元画像の各画素における波長成分を波長軸に展開して、空間的に1次元情報を得ると同時に、その波長軸情報を得て、これらから画像の波長情報を正確に定量評価する手法を言います。RGBやその他のフィルターを用いたカラー画像手法では、あくまでもフィルターを用いた疑似カラー手法ですが、本ハイパー・スペクトル画像は、波長の細かな成分を用いておりますので、スパイク状のスペクトルを有する特徴ある画像の解析でも、曖昧な画像とすることはありません。
構造は、下図のような光学系から成り立っております。入力光学系、1次元スリット、コリメート・レンズ、プリズム回折格子、結像レンズおよび白黒カメラを用いて、上記の機能を達成します。
入力スリット上に投影された(下図では、やや結像点がずれていますが)2次元カラー画像は、その2次元面からスリットを介して、1次元カラー画像を切り出します。切り出した画像は、コリメートレンズで平行光に直されたのちに、透過型回折格子で色分解され、結像レンズによって、1次元画像の位置と分光波長情報が2次元カメラの画像面に結像されます。
入力レンズ スリット 回折格子 2次元カメラ
当社のハイパー・スペクトル・カメラの構造
下の左図が当社のハイパースペクトルカメラの心臓部である分光素子部になります。これに入射用のカメラレンズと画像の1次元切り出し用のスリットを取り付け、その出力スペクトル像を、USBカラーカメラにてコンピューターに取り込みます。カメラに何を用いるかによって、その解像度や感度の差異が発生します。
下に示したカラー画像は、横軸方法が波長で、縦軸方向が1次元画像情報に対応します。ここでは、光源として、蛍光灯を用いたために、蛍光灯の輝線スペクトルが見えております。
この蛍光灯下に、サンプルとなるカラー物体を配置し、その表面に波長のわかっている緑色と赤色のレーザーを照射することで、波長軸の校正を行います。
蛍光灯画像に緑レーザー(532.553nm)の強い線と赤レーザー(653.565nm)を重畳させたのハイパースペクトル画像例
次に、カラー物体を蛍光灯下で移動してみると、下図に示すように、その切り出された1次元画像の分光反射分布に基づく反射ハイパースペクトル画像を得ることができます。
蛍光灯下での、カラー画像解析例
■ 動画例
* 映像を観るには、MOVフォーマットが再生できるプラグインが必要です。Quick-Timeなどがあれば再生できます。
当社の開発したハイパースペクトルカメラに、高感度のカラーカメラを接続して、1次元画像のスペクトル(波長)情報をリアルタイムで観測した例を以下に示します。
まずは、見てください。
下のように、ハイパースペクトルカメラの前方で、白色光で照明された物体を動かすと、その物体の1次元切り出し画像のスペクトルがリアルタイムで表示されるのが、さらに下の画像でわかります。
|
|
本画像において、画像の縦方向が、入射した画像の1次元空間情報に対応し、横方向がスペクトルのカラースペクトルに対応します。ここで、照明光として蛍光灯を用いましたので、蛍光灯のライン・スペクトルが明確に分かれて見えます。
その上で、黒い影が動きますが、これは、物体の色合いに応じて赤い光のみが反射されたり、青い光が反射されたり、すべての色が反射されない黒い物体などに対応します。
|